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ワンファミでは、「災害ケースマネジメント」という被災者支援の手法を全国に普及させるための取組みを行っています。
ワンファミリー仙台とNPO法人YNFがコンソーシアムを組んで行っているもので、NPO法人ジャパン・プラットフォームを資金分配団体とする休眠預金事業の助成金を受けて実施しています。
今回は本事業を紹介するシリーズの第3回(最終回)です!
第1回では「災害ケースマネジメント」の考え方の特徴を紹介しました。
https://onefamily-sendai.jp/news/results/dcm_20250827.html
第2回では「災害ケースマネジメント」を全国に広げるための普及活動を紹介しました。
https://onefamily-sendai.jp/news/results/dcm_20250922.html
今回は実際に災害がおきた時に「災害ケースマネジメント」をリアルに実践してもらうためのチャレンジングな取組みを紹介します。

前回までの記事でご紹介した「災害ケースマネジメント」の特徴をおさらいしましょう。
NHK ハートネットTV(2025.1.27放送)の中で、YNFが能登で実践してきた「災害ケースマネジメント」の活動が紹介されています。
ここから読み取れる「災害ケースマネジメント」のポイントは以下のとおり。
【災害ケースマネジメントの特徴】
▶被災者への支援は「待ち」の姿勢ではなく、支援者側から積極的にアウトリーチすること。
▶被災者一人ひとりに寄り添って、丁寧に悩みを聞き、支援者と一緒になって課題を整理すること。
▶それぞれの事情に合わせて、その課題を解決できる専門家と連携して、伴走型で支援すること。

被災者の希望にそった生活再建をサポートするためには、被災者一人ひとりの課題や悩みに対し、その気持ちに寄り添い、士業や専門家と連携しながら、伴走型で包括的なサポートをコーディネートするような役割が求められます。
そのためには、災害が起こる前から、行政機関や社会福祉協議会、士業などの専門家グループ、そしてNPOなどの支援団体がネットワークをつくり、連携体制を構築しておく必要があります。
この平時からの備えこそが「災害ケースマネジメント」の肝ではないかと考え、私たちはこの事業に取り組んでいます。

災害ケースマネジメントの手法がいくら効果的であっても、それが行政や民間支援団体にしっかりと理解されていなければ、いざという時に役に立ちません。
私たちは、今後南海トラフをはじめとした大規模災害が起きる可能性のある地域で、災害ケースマネジメントを実践しようとする団体に対して、その地域の自治体と連携しながら研修活動(OFF-JT)を行っています。
さらに、より実践的な担い手の育成のために、実際に被災地の現場で活動に参加しながらノウハウを学べる応用研修(OJT)の機会も提供しています。
災害ケースマネジメントの実践者(支援側)となるのは主に、自治体の関係部門(福祉部局、住宅部局、危機管理部局など)をはじめ、社会福祉協議会などの地域の福祉団体、士業や専門家グループ、居住支援法人や不動産関係団体、NPOなどの民間の非営利団体など多岐にわたります。
災害ケースマネジメントは多様な機関が連携して行うものなので、全員が同じ方向を向いて協働する必要があり、様々なプレイヤーを広く研修の対象にしています。

さて、前回までのおさらいが長くなりましたが、ここからは第3回の本題となる新たなチャレンジを2つ紹介します。
一つ目は、災害ケースマネジメントの手法のブラッシュアップを目的に、「災害ケースマネジメント促進委員会」を設置し、災害に関連する専門家による議論を進めています。
災害ケースマネジメントを全国にさらに広め、リアルに実践してもらうためには、これまで曖昧になっていた災害ケースマネジメントの範囲や考え方などを私どもなりに整理し、これまで以上に「誰にとっても分かりやすく、実践的で効果的である」ということを社会に示す必要があります。
災害ケースマネジメントの手法や考え方には、これが正解だというものは実はありません。
これまで全国の被災地において様々なプレイヤーが支援活動を展開する中で、それぞれの立場で考え方や大事にしている価値観は異なります。
それらのプレイヤーの手法や価値観、成果等を集約し、様々な立場の専門家やプレイヤーが意見を述べ合い、私たちなりに導き出した「災害ケースマネジメント」のスタンダード(おすすめ)を示し、一つの集大成をつくりたいと考えています。

「災害ケースマネジメント促進委員会」の委員メンバーをご紹介します。
学識者から行政、民間支援団体まで様々な立場の方にご協力いただき、これまでの災害対応の経験や見識に基づいた議論を進めています。
<災害ケースマネジメント促進委員会の委員一覧>
区分 氏名 肩書 弁護士 津久井 進 弁護士法人芦屋西宮市民法律事務所 学者 菊池 馨実 早稲田大学理事・法学学術院教授 建築士 内野 輝明 有限会社内野設計 NGO/NPO 辛島 友香里 ピースボート災害支援センター 行政(国) 土岐 祥蔵 厚労省災害等危機管理対策室 室長 行政(自治体) 齊藤 哲也 岡崎市財務部 部長
これまで4回にわたり委員会を開催し、能登半島地震の被災地への訪問も含めて、委員それぞれ様々な意見を述べ合い、まずは災害ケースマネジメントのスタンダードを見出すための課題や整理すべき論点などを確認してまいりました。
具体的な結論を出すのはまだ先となりますが、今後各回でテーマを絞り、ブラッシュアップに向けた議論を進めていきます。

さて、ここから(二つ目)が私どもの大きなチャレンジとなります!
いくら災害ケースマネジメントの手法をブラッシュアップしたところで、それをしっかり伝え、支援を行う当事者に見てもらい、これに沿って実践してもらわなければ意味がありません。
そこで、私たちがまとめた集大成を「(仮称)災害ケースマネジメントのススメ」として冊子にして出版します。
これを行政機関はじめ様々な民間支援団体などの皆さまに読んでいただき、いざ災害がおきた場合の道しるべとしてほしいと考えています。
災害ケースマネジメントには正解はありません。よって私たちが出版する本も「教科書」ではありません。
いざ災害がおきた時に支援の当事者に分かりやすく実践してもらうための一つの実用書であり、困った時の「道しるべ」になることを期待しています。
「(仮称)災害ケースマネジメントのススメ」は、被災者支援の中心的な存在となる地方自治体の職員をはじめ、行政機関と連携する各種民間支援団体、福祉機関などの皆さまに幅広く読んでいただくことを想定しています。
▶災害がおきた時に現地では何が起こるのか
▶被災者はどんな境遇におかれ、どんなことに困るのか
▶そこにどんなプレイヤーが集まりどういう動きをされるのか
▶それらを束ねコーディネートしていくためには、誰が中心となってどんな体制構築が必要なのか
などをフェーズごとに解説し、それに対する災害ケースマネジメントに即した支援のあり方を示します。

これらの膨大で専門的な内容を一つの冊子にまとめるために、ご尽力いただいている編集委員をご紹介します。
お二人とも災害対応に知見を有し、現場経験が豊富な方であり、促進委員メンバーとも直接意見交換しながら、その内容を冊子にまとめていただいています。
<編集委員メンバー>
①菅野拓(大阪公立大学大学院文学研究科准教授)
②羽村龍(元輪島市福祉課職員)
2026年7月の出版を目指して、執筆・編集作業を進めています。
これが出版されたら、全国各地で災害が起きた際に迅速で効果的な被災者支援が展開されるための「道しるべ」として活用され、多くの被災者の命と生活再建が守られる成果につながることを切に願っています。
無事に出版された際にはここでまたお知らせいたします!!

大変長くなりましたが、ここまで3回にわたり災害ケースマネジメントを普及させるための取り組みについて紹介させていただきました。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました!
ワンファミでは、このように生活困窮者支援だけでなく、被災者の生活再建や、未被災地での事前復興に資する活動を実施しています。
しかし、今回の事業だけでは、被災者の支援や災害への備えは不十分であり、行政サービスだけではカバーできない民間によるきめ細かい支援が今求められています。
能登半島地震での教訓をいかして、災害への万全の備えが全国で広まるよう、皆さまから温かいご支援をお願いいたします。
▼▼▼ご寄付の窓口▼▼▼
https://onefamily-sendai.jp/support

この事業は休眠預金を活用した公益民間活動として、助成金を受けて実施しています。
・実行団体名:NPO法人ワンファミリー仙台、NPO法人YNF
・事 業 名:被災地を中心にした災害ケースマネジメントのOJTおよびOFF-JT研修事業
・指定活用団体名:一般財団法人日本民間公益活動連携機構
・資金分配団体名:特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム


