ワンファミリー仙台では、2009年より反貧困みやぎネットワークと連携し路上生活者や派遣切り等で住まいを失った方のためにシェルター(緊急一時避難所)を運営しています。
シェルターでは、路上やインターネットカフェで寝泊まりするような過酷な生活を脱出し、自分と向き合いながらスタッフとともに生活再建を目指します。
また、路上生活に至る前に、市区町村の相談窓口、ハローワーク、地域の医療機関から紹介を受けてシェルターに入居される方も多数おられます。
このシェルターの運営費は、宮城県からの委託のほか自主事業として各種助成や市民の寄付等にてまかなっています。
ほぼ毎日、シェルター入居の問い合わせや、生活困窮状態による食料の提供依頼などが当法人に寄せられています。本当に身寄りがなく行き場のない人、頼るべきところがない孤立した人が、増大している現実を日々目の当たりにしています。
住まいが見つからず困っている生活困窮者のための施設です。一般のアパートを転用したもので、自立生活を送れるまでの中間施設として利用することができます。
関連法令:社会福祉法第2条第3項第8号
「生計困難者のために、無料または低額な料金で簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」
失業・倒産、雇用情勢の厳しさといった経済的な理由だけでなく、生活困窮の背景には複雑な事情が絡み合っています。仕事や居所を失って施設に入居される方は、社会から孤立しており、中には障がいや精神疾患等の持病がある方も少なくありません。
実は知的障がいがあるが周囲にわかってもらえずに生きづらさを抱えてきた人、幼少期に虐待を受けるなどの辛い経験をしたため他人とのコミュニケーションが苦手な人、アルコール依存やギャンブル依存の人、家族からDVを受けて家にいられなくなった人… 様々な背景を抱えた方がワンファミリー仙台を訪れます。
ワンファミリー仙台ではその方が生活困窮に至った背景を考慮し、支援計画書に基づき自立まで一人ひとりに合った伴走型支援を実施します。
生活困窮者は「頼れる家族」や「相談できる相手」がおらず孤立しています。社会保障や福祉、就労支援等の制度は複雑で、相談窓口もそれぞれ異なります。
そのため支援が必要な状態であるにもかかわらず、利用できる制度があること自体を知らなかったり、相談窓口がわからなかったりするため一人では支援を求めることが難しいという問題があります。
コミュニケーションが苦手など前述のように複合的な問題を抱えた人は、例えば、一度就職できても職場での人間関係などでつまずいて仕事を辞めてしまうことがあります。そして、それをきっかけに再び孤立・困窮に陥ってしまう可能性があります。
既存の縦割りの制度による一時的な支援だけでは、その守備範囲を離れたときに再び孤立するおそれがあります。しかし、伴走型支援は縦割り制度の間に落ち込み孤立する人に寄り添い、担当者が継続的にサポートします。支援が必要な場面ごとに、専門知識を活用して各種の支援制度の窓口や支援機関等(医療、介護、障がい者福祉、就労支援など様々な領域にわたる)につなぎ、そこでうまくいかなければ新たな受け入れ先につなぐ…というように、孤立から生活困窮に至る悪循環を断てるように家族のように常に寄り添って支えていきます。
ワンファミリー仙台では、身寄りがなく亡くなられた方の最期をお見送りするため、2010年12月に「一家族の墓」を建立しました。困難の多かった人生を最期まで生き抜いた家族たちを、私達は忘れることはありません。